第三祝福実現のために

神様が与えて下さった第3祝福を実現するための一助として、FXを活用してみようという中年オヤジ食口のブログです

ある女の話(4)

女はソファーに深く腰掛け、目を閉じて夫の愛人マリアとその子ダビデに会ったことを、

夕陽の当たるベランダで思い出していた。

夫の愛人がイギリス人だとは夢にも思わなかった。

彼女はやるせない敗北感を感じていた。

短い時間ではあったが、それはマリアと自分を比較して、

直感的にすべての面で劣っていることを感じ取るには十分な時間であった。

マリアがかもし出す上流階級育ちの品のよさは、彼女には決定的に欠けていた。

ダビデと名づけられたあの赤ちゃんは、目もとがとても夫に似ていると思った。

夫は自分の不貞を詫びるどころか、二人を愛してほしいとわけのわからぬことを言い出した。

夫が自宅にいない時は、愛人といっしょにいるかと思うと、嫉妬で気が狂いそうだった。

自尊心はズタズタにされ、劣等感に苛まされた。

同時に彼女は夫に対し、ある疑念を持ち始めた。

それは、第二、第三のマリアがいるのではないかということだった。

日によって夫の服から漂う、複数の女性用香水で彼女は確信を深めていたのだ。